オランアスリーとは?
オランアスリーとはマレー語で「森の人」と言う意味です。マレーシアでは、原住民のことをそう呼んでいます。オランアスリーはマレー民族が現在のマレーシアに移住してくるずっと以前から、文字通り森の中に住み、自然と共存して生活してきました。
今でもオランアスリーは森周辺で生活し、森を中心とした自然のことを熟知しています。マレーシアの道路を走っていると道端に小さな小屋やテントを見かけることがあります。
オランアスリーたちが森で採れたものや、自分たちで加工したものを道端で売っているのです。車を止めてテントをのぞいてみると思いがけない発見をすることがあります。
今回はオランアスリーがまな板を手作りしている様子を見学することができました。素敵な笑顔だけどちょっとシャイなオランアスリーが作ったまな板との出会いについてお伝えします。
オランアスリーのテント発見!

オランアスリーのテント
オランアスリーのテントではとても面白いものが売られていることがあります。例えばハチミツ!森で採れたナチュラルなハチミツを手に入れることができます。
本当に自然な状態のハチミツは酵素がたっぷりと入っているので、ブクブクと泡が立っています。何も加工されていないハチミツは甘酸っぱく、トーストの上にのせてハニーバターとして食べると格別に美味しいです。
ハチミツ以外にも、森で採れた果物や野菜などもテントに吊るされ売られています。今回私たちがオランスリーのテントを見かけたときには、まな板が吊るされて売られていました。
■テントでは……

きのこの様なもの
テントではたくさんのものが置かれています。例えば森から拾ってきて加工したような一枚板。私は木のことは詳しくありませんが、「これを磨いてテーブルにしたらものすごく味があるテーブルができるだろうな」と思いながら眺めていました。
また、「きのこ」の様なものも…。これを何に使うのかわかりませんが…。時々車を止めてテントに立ち寄り、ものを見ていく人もいました。
そして木の板をぶら下げて売っていました。そう、この木の板、「まな板」なんです。実はオランアスリーの作るまな板はマレーシアの家庭では人気で、よく使われています。
彼らの作るまな板の特徴は、一枚板であること、そして厚みがあること。だからとても頑丈なんです。マレーシアでは鶏肉を丸々一羽買ってきて料理することも珍しくありません。
そんなときは大きな包丁を使って鶏肉をさばくのですが、そのとき骨まで一緒に切り分ける必要があります。使うまな板が厚いと、包丁の勢いと吸収しやすくなり、鶏肉を切り分けやすくなります。
そんな背景もあり、マレーシアの市場ではオランアスリーの作ったまな板が売られている様子を時々目にすることがあります。我が家にもあり、もう何年も使っていますが、とても使い心地がよく気に入っています。
まな板を作っている様子発見!

テントの奥で、まな板を作っている様子
まな板を見ていると、テントの奥で、まな板を作っているところを発見!早速許可を得て、見に行くことにしました。

周辺に転がっている木材
彼の周りには輪切り状態(?)になった木材が転がっていました。彼は1つ1つ手にとってサンディングの機械を使って磨きをかけていきます。磨いている間は木辺が飛び散るので、顔にマスクをかぶってカバーしていました。

磨く前

磨いた後
磨く前は、たくさんの木辺が残り、すいばりが刺さりそうな状態だった木材ですが、磨いた後はこんなにツルツルの状態になります。触ると滑らかで、色も白っぽく変わっていました。
一枚の板を磨くのにかかる時間は約3分。あっという間にどんどんキレイな状態のまな板に仕上がっていきます。正直、サンディングマシンを使って簡単に作られている様子にびっくりしました。
もっと難しい工程や伝統的な方法を使っているのかもしれないと期待していたからです。オランアスリーも現代技術を上手に活用し仕事の効率化を目指している様です。
ちょっとシャイなオランアスリー
店を見ている間も、まな板を磨く様子を見ている間も、私たちがうろうろすることを嫌な顔1つ見せずに受け入れてくれたオランアスリー。店番をしていたのはまだ若い男性でした。彼らはちょっとはにかんだ笑顔で私たちを見ていました。
オランアスリーの人たちはとてもシャイだと聞いたことがありましたが、話しかけても恥ずかしそうに答えてくれます。
マレー系の人はとてもフレンドリーで、話しかけたらノリノリで答えてくれることが多いので、また違うなと感じました。同じマレーシアに住む人でも民族によって、民族性があるのは興味深いと思いました。
面白い発見があります!
現在、オランアスリーは政府の保護を受けながら生活していると聞きます。政府の方針を受け入れ、本来の生活を捨て現代の生活を始める人もいれば、昔から続いてきた森との共存生活を好んで続ける人もいる様です。
どちらがいいか私が簡単に言うことではありません。私が言えることは、私は彼らの作ったまな板をとても気に入っているということです。そして、森の中を熟知し、上手に共存している彼らをとても尊敬しています。
もしマレーシアの道路を走る機会があったとき、そしてそこでたまたまテントや小さな小屋を見つけたなら、それはもしかしたらオランアスリーが何かを売っているのかもしれません。ちょっとのぞいて見たら面白い発見をすることがありますよ。
マレーシア在住です。海外旅行とコーヒーが大好き!マニアックなマレーシア情報や海外旅行の様子を、ハプニングを交えてお伝えします!