ラッセル・クロウも巻き込まれた?ちょっと笑えるオーストラリアvsニュージーランド痴話喧嘩の数々

ラッセル・クロウも巻き込まれた?ちょっと笑えるオーストラリアvsニュージーランド痴話喧嘩の数々

「ダウン・アンダー(Down Under)」の愛称で親しまれるオーストラリアとニュージーランド。行き来も永住も自由で、国旗もそっくり、ラグビーの強国と共通点も多いものの、それ故にあれこれ優越をつけたがる微妙なライバル関係にあるのも事実なのです。「どっちでもいいじゃないか」なんて間違っても言ってはいけません。彼らが国のプライドをかけて展開する議論の数々をご紹介します。


パブロバ(Pavlova)

フワッと焼いたメレンゲの上にホイップクリームや旬のフルーツを盛りつけたデザート、パブロバ。オーストラリアとニュージーランドの夏季、特にクリスマスシーズンの定番デザートであり、こちらのスーパーでは年中パブロバのベースが売られています。

「パブロバ」という名前は、1920年代にオーストラリアとニュージーランドを公演で訪れたロシア人バレリーナ、アナ・パブロバに由来しています。ここまでは議論の余地はないものの、いったいどちらが発祥の地なのか?その座を巡って二国は長年静かな火花を散らしてきました。

決着がついたのは2010年。権威あるオックスフォード英語大辞典(The Oxford English Dictionary )がインターネット版に「1927年にニュージーランドで最初のパブロバ・レシピの記録がある」と記載したことで、ニュージーランドが勝者に落ち着くことに。オーストラリアでもパース在住シェフによるパブロバのレシピは確認されたものの、1935年頃のものだったとか。

ベリー類のトッピングも合いますが、パッションフルーツやキウイフルーツを乗せても美味しくいただけます。

クラウデッド・ハウス(Crowded House)

クラウデッド・ハウスは1980年代半ばにメルボルンで結成されたバンドで、全盛期には全米ビルボードの上位に入ったこともある往年の名グループです。

代表曲のひとつ「ドント・ドリーム・イッツ・オーヴァー(Don't Dream It's Over)」は若者に人気の有名アーティストもよくカバー曲を歌っており、こちらの歌唱オーディション番組などでも参加者が好んで選ぶ一曲。バンドの全盛期を知らない世代でも彼らの曲を聴いたことがある方も多いと思います。

バンドの主要メンバーであるニール・フィン(Neil Finn)はニュージーランド出身のキウイ。ニュージーランドでスプリット・エンズ(Split Enz)という別のバンドで活動していましたが、解散後にオーストラリアに移りオーストラリア人のバンドメンバーとクラウデッド・ハウスを結成しました。

その後ヒット曲を連発し、オーストラリアのみならずニュージーランドや米国でも成功をおさめたクラウデッド・ハウスですが、これを面白く思わなかったのがキウイたち。「オージーが泥棒した!」とよく不満をこぼしています。ニール・フィンは「僕らはインターナショナル・バンドだよ」とコメントしていますが、オーストラリア人はあくまで「メルボルンで結成したオーストラリアのバンド」という姿勢を崩しません。

スタン・ウォーカー(Stan Walker)

お次もまた芸能界から。オーストラリアン・アイドル7代目優勝者のスタン・ウォーカーはニュージーランドとオーストラリアからバランスよくファンを獲得しており、珍しく「うちのもんだ!」「そっちが盗んだ!」と議論の起こりにくい人物です。

スタンはニュージーランドの先住民マオリ族の血をひく両親を持ち、メルボルン生まれのニュージーランド育ち。父親による家庭内暴力から逃れるために10代の頃オーストラリアへ舞い戻り、その後出場したオーストラリアン・アイドルで見事優勝を果たします。彼は番組史上初のニュージーランド出身優勝者として話題になりました。

ニュージーランド時代に親戚から性的暴行を受け、両親はともに麻薬密売人で刑務所への出入りも頻繁だったという壮絶な子供時代を過ごしたスタンは絵に描いたような苦労人。自分の子供を妊娠したガールフレンドが流産したことや、薬物使用などの犯罪に手を染めた自らの過去も公にしています。

どん底から這い上がりスターダムに駆け上がったスタンを取り合うのは割りに合わないことをファンは分かっているのでしょう。ちなみに彼が契約しているのはオーストラリアのレコード会社ですが、オールブラックス(All Blacks)の国際試合でニュージーランド国家の斉唱をするなど、彼自身のアイデンティティはニュージーランド人のようです。

アンザックビスケット(Anzac Biscuits)

第一次世界大戦の最中に結成されたオーストラリア・ニュージーランド軍団 (Australian and New Zealand Army Corps) 、ANZACにその名を由来するアンザックビスケット。名前からしてビスケットの起源については議論が起こることはないと思いきや、ここでもオーストラリアとニュージーランドはプライドをぶつけあいます。

「アンザック」の名のついたビスケットの存在は両方の国でそれぞれ確認されたものの、現在レシピとして認識されている原材料(オーツ、小麦粉、シロップ、ココナッツフレーク、バターと砂糖)を用いて「アンザック・ビスケット」との記載があるのは1921年にニュージーランドはダニーデンで発行されたレシピ本。ということで軍配はニュージーランドに上がっています。

ちなみにこのビスケット、日持ちがよいことから国に残った女性たちから戦地に赴いた夫や恋人に贈られたり、戦時中の市民集会などで寄付金集めに焼いて売られていたそう。ラミントン、パブロバと並んでオーストラリア独特のスウィーツとして今でもその地位は揺るぐことはなく、オーストラリア市民権授与式などでも振る舞われます。

こちらのレシピ本にも必ず載っています。

ラッセル・クロウ(Russell Crowe)

ラッセル・クロウもまた、冗談半分にネタにされることの多いスターの一人です。

オーストラリア人俳優のヒュー・ジャックマンとの共演作品が多いことから同じくオーストラリア出身だと思われがちですが、彼が生まれたのはニュージーランドの首都であるウェリントン。両親と共にシドニーに移住したのは彼が4歳の頃で、その後14歳の時にニュージーランドへ戻りますが、21歳で再びオーストラリアへ。前出のスタンと同様、二国間を行ったり来たりしています。

オーストラリアへ舞い戻った後にトントン拍子でスターの座に上り詰め、2001年にはオーストラリア映画界への貢献が認められ、豪政府が制定した勲章であるセンテナリー・メダル (Centenary Medal)を授与されたラッセル。

また2009年には「オーストラリアのレジェンド」をテーマにした記念切手にアカデミー賞を受賞したグラディエーターの格好でその顔が刻まれており、彼が英国のエリザベス女王以外で唯一の外国人であることがクローズアップされました。また過去にはオーストラリアのナショナル・トレジャー50人にも選出されています。

そんなこんなで、すっかりオーストラリア人扱いされるラッセル・クロウですが、実は2006年と2013年、2度に渡って豪州市民権を申請していながらも却下されています。巷の噂では、申請に必要な居住年数を満たしていなかったことや、2001年に大幅改定されたニュージーランド国籍保持者に対する移民法が絡んでいるというのが却下の理由として挙げられています。

2013年に2度目の拒否を食らった際はさすがにご立腹の様子だったラッセル。当時自身のツイッターで「僕は1986年にオーストラリアへ来たんだ。(法が変わった)2001年じゃない。49年の人生のうち、37年間をここで過ごしてる。オーストラリア人の子供も2人いる。それなのに投票権すらもらえないなんて不公平だと思わないか?」と胸の内を明かしています。

ラッセルは映画の撮影で長期間家を空けることも多いでしょうし、米国にも家を構えているでしょう。豪政府の言い分もそれなりに理解はできますが、彼のオーストラリア社会への貢献を考えると市民権授与は妥当だと思えるだけに、豪政府の対応は少々残念。

ちなみに、オーストラリアとニュージーランドの二国間は行き来自由で永住も自由です。しかし、オーストラリアに移住してきたニュージーランド国籍保持者に与えられるのは特別カテゴリービザ(SCV)という種類のもの。永住も労働も許可されているものの社会福祉制度や学生ローンにアクセスするには永住権や市民権獲得が義務付けられています。これがよくキウイたちの不満の火種になっているのです。

「オーストラリアのレジェンド」の記念切手シリーズ。「ラッセルはオーストラリア人じゃないだろ!」とキウイから総ツッコミを受けました。

フラット・ホワイト(Flat White)

近年、北半球以外でもカフェのメニューの名を連ねるようになったフラット・ホワイト。発祥の地については、「自分がシドニーで経営していたカフェで1985年に始めた」と主張するオーストラリア人と、「ウェリントンで1989年に始めた」と同様の主張をするニュージーランド人が真っ向から対立しています。

前者は「ホワイト・コーヒー フラット(White Coffee - flat)」という飲み物を60年代から出しており、後者はミルクが泡立たなった出来損ないのカプチーノをお客さんに持って行って「すみません、ぺちゃんこな(フラット)白い(ホワイト)コーヒーになってしまいました。」と言ったのが始まりなのだとか。

大手コーヒーチェーンのスターバックスはフラット・ホワイトを「オーストラリア発」と定義づけていますが、コーヒー専門家たちは発祥の地について「不明」としている方がほとんどです。こちらの議論に決着がつくのは、まだ先のようです。

マーマイトとベジマイト(Marmite and Vegemite)

最後にご紹介するのは、アメリカのテレビ番組で時々ジョークにされる珍味、ベジマイトとマーマイト。原料は酵母エキス(イースト菌抽出物)と塩が主で、一見するとチョコレート・スプレッドのように真っ黒な外見ですが、強烈な匂いと塩辛さを持ち合わせた発酵食品です。

ベジマイトは、もともとイギリス産の発酵食品であるマーマイトの輸入が困難になった世界大戦時にオーストラリア国内で開発されたのもので、マーマイトとは原材料がやや異なるものの、栄養価や味のインパクトはほぼ同様。今や本家マーマイトを差し置いてオーストラリアの国民食に登りつめています。

お隣のニュージーランドはというと、マーマイト及び国産版マーマイトである「ビタマイト(Vitamite)」の方が圧倒的な人気を誇っており、キウイにとっては子供時代の懐かしの味としてベジマイトと同じ位置付けにあります。

ここでもやはり酷似食品の優越をつけたがる両国。時折「マーマイトとベジマイトの味利きゲーム」なるものや、「マーマイトとベジマイトはどちらの方が美味しいのか」というネタでよく議論が交わされます。部外者から言わせてもらえば、味の強烈さは甲乙つけがたいと思うのですが、オージーに言わせれば「ベジマイトの方がマイルドでコクがある」のだとか。

余談ですが、ベジマイト、マーマイトの愛好家がずいぶん前から物申したかったのが、米国人がこれを味見し、おちょくり、酷評する際にその食し方が甚だしく間違っているという点でした。そこでひと肌脱いでくれたのが我らがヒュー・ジャックマン。米の人気深夜トークショー・ホストのジミー・ファロンがやはりベジマイトをけなしたのを知って、ショーに出演し自ら正しい食べ方をレクチャーしたのです。

ベジマイトを美味しくいただくコツは、焼きたてトーストにまずバターをしっかり溶かすこと、そこに薄くベジマイトを塗り重ねること。これをしっかりと実演してくれたヒューに「よくぞ言ってくれた!」と本国で拍手喝采が起こったのは言うまでもありません。

一家にひと瓶、ベジマイト。筆者も大好きです。パッケージの下方には「PROUDLY MADE IN AUSTRALIA SINCE 1923」と自信たっぷりの記載が。

ご紹介したトリビアは、オーストラリアやニュージーランドに縁のない人から見ればくだらないマニアックな内輪ケンカのように思えるかもしれません。それでも両国民にしてみれば自国を愛するがゆえの冗談半分の議論であり、「うちのだ!」「いや、うちのだ!」の掛け合いを楽しんでいるようにすら思えます。

オージーやキウイと会話をする機会があったら、ぜひ話題に挙げてみてくださいね。彼らの愛国心が垣間見えること請け合いです。

この記事のライター

ニュージーランドとシンガポールでの生活を経て2009年よりシドニーに居住しています。6・3・1歳の子育て中です。

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