ボリビア人にとって牛肉は大切なたんぱく源

さかんに放牧がおこなわれ、牛が育てられています。
南米大陸の真ん中に位置するボリビアは海のない内陸国として知られます。海がありませんから、海産物の流通に限りがあります。もちろん川魚を獲ることは可能ですがそれでも流通には限りがあります。なので、ボリビア人にとってのたんぱく源は牛肉か鶏肉ということになっています。
最近、国連の調査によってボリビア人があまりにも魚を食べていないという警鐘の声が上がりました。川魚をさかんに養殖している場所もありますが、それでも流通が追い付いていないのが現状です。そして何よりボリビア人は牛肉と鶏肉が大好きなのです。
そして牛肉の消費量はボリビア国内において肉類の中では一番なのだそうです。特に熱帯地方のサンタクルス県やベニ県と言った広大な平野のあるばしょでは牧畜が盛んにおこなわれています。長距離バスなどで何もない平野を走っていると牛がたくさんいることに気づくと思います。
柵が施された牧場の中をたくさんの牛がのんびりと歩いているのを見かけます。ボリビアの牛の育て方としては基本的に餌をあげることはありません。牧場の中に生えている草を牛が自由に食べることによって育てられます。牧場の中よりも外に草が生えていれば飼い主が外へ連れ出します。
たまに牛と幹線道路を走る車が衝突して事故が起こるということもあります。田舎町の中では牛が自由に出歩いていることもあります。そんな風に自由に育てられた牛の肉がボリビアでは流通しています。日本ではたくさんの餌を与えてまるまると太らせます。こちらでは自由に放牧して育てます。
それで、太った牛はあまりいません。どちらかというとガリガリの牛が多いです。それで、ボリビア国内で流通している牛肉は固いものが多いです。柔らかい牛肉が日本ではスタンダードですが、固くひたすら弾力のある牛肉がボリビア流なのです。
さっそくボリビア流のBBQ、シュラスコへ!

まるで絨毯の様な肉をごっそりとがっつり焼くのがボリビア流のBBQ!
BBQ用のコンロが大きい家を持つボリビア家庭には備えられています。なので、シュラスコが本当に身近な存在だということがわかります。そして炭火から火を起こして肉を焼きます。ここまでは日本のBBQと同じです。そしてここからが違います。
日本では薄切りにした牛肉を少し火にかけて、ミディアムでいただくのが主流です。しかし、こちらボリビアではまるで絨毯の様な分厚い牛肉をどんと置きます。そしてじっくりと焼き上げていきます。今回は4キロの肉を一気に焼き上げました。
ロースやカルビを焼くのが日本ですが、こちらではコスティージャと呼ばれる牛の脇腹にあたる部分の肉を使いました。なので肋骨も一緒に含まれています。いわゆる骨付き肉と言ったところでしょうか?ボリビア人はこの部分の肉が大好きです。
そしてシュラスコではミディアムではなくてウェルダンくらいまでじっくりと焼き上げます。そして、牛肉と一緒にソーセージを焼きます。野菜を焼くのはあまり見たことがありませんので、やっぱり南米は肉食系ですね。

味付けは塩とレモンのみ。アジノモトをかける場合もあります。
分厚い4キロの牛肉をウェルダンにまで焼き上げるのは30分ほどかかります。その間に味付けも施します。日本ではタレで味付けますが、こちらボリビアでは基本的には味付けは塩のみです。加えてレモンやアジノモトを加える場合もありますが、基本的には塩だけとシンプルな味付けです。

焼きあがったらナイフでカットしていきます。
焼き上がったら、ナイフでカットしていきます。肉と一緒に骨が混ざっていることが確認できるでしょうか?ロースの部分をキロ単位でがっつり焼くこともありますが、今回はコスティージャという骨付きの部分を使ってのシュラスコです。各家庭によって肉の好みが分かれます。それもシュラスコの楽しみの一つです。

焼きあがった肉のお味は?
そして、シュラスコの肉が焼きあがりました。肉の味は、塩味とレモンがうまく合わさりおいしいです。と言いたいところですが、とにかく肉が固い!それに尽きます。実はボリビアのシュラスコですが、日本人はもしかしたら苦手かもしれません。
なぜなら、ただでさえも固い牛肉を分厚いままウェルダンにまで焼き上げるこのシュラスコ。とにかく歯に顎に負担がかかります。一枚の牛肉をかみ切るまでに何分もかかることがあります。まるでゴムの様な触感の牛肉です。少し興味深いのですが、ボリビア人にとってもこのシュラスコの肉は固いそうです。
ボリビア人は結構歯が悪い人が多いのですが、その理由の一つとして固すぎる牛肉があげられるそうです。薄く切った牛肉を焼くよりも大きな肉を一気に焼き上げるのが最高の贅沢だということ。それがボリビアの文化です。日本のBBQと比べると味も品質も落ちるかもしれません。美味しくはありません。
それでもこのシュラスコの時にはボリビア人の笑顔があふれています。肉の味ではなく、楽しいひとときと最高の贅沢。豪快に牛肉を味わえること、それがボリビアのシュラスコの楽しみ方なのかもしれません。柔らかいおいしい肉を楽しみたいという日本人の考えは野暮なのかもしれませんね。
終わりに
ボリビアのBBQ 、シュラスコについて見ることができました。やはり文化や国民性の違いをうかがえるのが興味深いです。もし、シュラスコでどうしても柔らかいお肉を食べたいならこちらで売られている一番柔らかいロミート肉を持ち込むことをおすすめします。現地の人もなかなかトライしないので喜ばれますよ。
とはいってもお肉のおいしさを味わうよりも、その場を楽しむことが南米流というかボリビア流です。肉が固くておいしくなくてもその雰囲気を楽しむようにしましょう。そうするならボリビアのシュラスコを楽しめたと言えるのではないでしょうか。
南米ボリビアに在住。まだまだマニアックな観光地や穴場スポットがたくさんある国ですので、少しづつ紹介できたら嬉しいです。