スペイン人アーティストのアトリエを訪問カディスで生まれカソルラに住む:美しく生きるシリーズ第1回

スペイン人アーティストのアトリエを訪問カディスで生まれカソルラに住む:美しく生きるシリーズ第1回

現代は仕事のために住む場所を選ぶのではなく、自分のため、自分が幸せと感じられる場所を住む場所にする人が増えて来ました。好きな場所に住んで、自分のしたいことをしている素敵な人たちを紹介する新しいシリーズ「美しい生きるシリーズ」を始めました。第1回目はアンダルシア・ハエン県カソルラに住むアーティスト、アナ・ドミンゲスです。


ソンブレロベルデ(緑色の帽子)を訪問する

広場に面した入り口は夏はギャラリーとショップです。

エル・ソンブレロ・ベルデ(El Sombrero Verde)と書かれた看板がかかっている建物、古いごく普通のカソルラの家です。ここは以前、この部分を含めて、少し上の部分全体、多分1,000平米くらいの大きさの建物全体を民宿タイプのデザインホテルにしていました。この看板がかかっている部分をのぞいて、すでに客室が作られていたものは、すでに売却済みで現在カサ・ルラール(民宿と訳せますが、日本のいわゆる民宿ではなく、少し贅沢なタイプです。)として運用されています。

アトリエの入り口は石段の上

そのドイツ人は私の友人だったので、この建物には15年前に訪れたことがあります。ここにアーティストであるアナ・ドミンゲスがアトリエとギャラリーを作ったのは約10年前。夏の間、アクセサリーを娘に買うために1度入ったきりで、アトリエ部分はどのようになっているのだろうと少し懐かしい気持ちで訪問しました。

1階部分のギャラリー兼ショップ

好きな作品とアーティスト、アナ・ドミンゲス

まず、アーティストを紹介しましょう。アナ・ドミンゲス(Ana Dominngues)はアンダルシアのカディス県ラ・リネア・デ・ラ・コンセプション(La Línea de la Concepción)で生まれました。私はカディスが大好きで、海も好きなので、どうしてわざわざカソルラに来たのか思わず質問してしました。

ラ・リネア・デ・ラ・コンセプションは、略してラ・リネアと呼ばれる街です。場所は、イギリス海外領土ジブラルタルとの国境のそばにあり、経済的にも豊かな地域だそうですが、工業化などで、汚染があるそうです。

アナは、セビリアで美術を学んだ後、各地の講座にも参加し、ミランへ国費留学しています。大都会と田園風景のそれぞれの利点と欠点を理解した上で、山に囲まれたカソルラに本拠地を構えました。彼女の才能を高く評価しているドイツ人がアトリエとして、彼の持ち家の一つを提供し、植物観察をする生物学者のご主人のサポートで、彼女のアート世界は広がりつつあります。

Tシャツも。

お皿、小ぶりな額に入った絵画、ポスター類。

ペンダントヘッド。

ペンダントヘッド、上の列は陶器、下の列は七宝焼きの手法を取り入れています。奥にあるのはエコバッグ。

アナの家族はみんなアーティストです。お父様は画家、お母様は陶芸家、妹さんはタイル製作者です。特に家族がアートを学ぶように勧めたわけではなく、なんとなく環境の影響で絵を描くようになりました。

お母様はアナの生まれたラ・リネアから車で約40分で行けるマラガ県エステポナ(Estepona)にアトリエを持っているので、アナの陶芸や七宝焼きの作品は、そこで焼いてもらっています。

どこにも売っていない、ここだけで買えるスペインの香りのするアクセサリー。

アトリエ内部へ

材料などが置いてある棚、その向こうの部屋で絵画教室も開いています。

さて、いよいよアトリエに入っていきましょう。以前は普通に田舎の家という感じだったのですが、やはりアトリエらしくなっていました。小さな台所も作ってあり、1日中ここで過ごしているそうです。ご主人は生物学を専攻した、理系の人。一緒にここにいて、彼女の仕事を整理整頓しています。古い家は石の温かみがあり、天井も低く、とても居心地の良い空間です。

仕事場には二つの机。

奥に入って、ふと気付いたのは、私が以前訪れたときにあったステキな暖炉がありません。以前は暖炉の前に絨毯が敷いてあり、木で作られたベンチにモロッコで買ったクッションカバーに入ったクッションが並んでいました。

「アナ、暖炉はほかのフロアにあるの?」
「暖炉? ああ、暖炉はここよ。」

大きな作品を外すとそこに暖炉が。出たり入ったりすることが多いので今はガスストーブを使っているそうです。古い家は壁が厚いし(普通60センチくらいあります。)、広さもないので、ガスストーブ一台で全体が温まります。床は以前はタイルだったのですが、座っていると冷えるため木材に。

アナの仕事机。

左側に貼っているのは、カソルラのフェリアのためのポスター。毎年、カソルラはフェリアのポスターを公募しているのですが、初めてカソルラに住み始めたときに、応募してしっかり落選したそうです。ミラノ帰りのセンスが、カソルラのお役人にはわからなかったのでしょうね。

「好きな作品だから、自分でプリントしてポスター作って貼ってるの。もう2度と応募しないわ!」
とアナ。

選考委員の講評が、「繊細な絵だけど塗り残しがある」だったそうで、塗り残しではなく、そういうが風なんですよと声を大にして言いたいでしょう。

カソルラでは、あまり受け入れられなかったようですが、それでもこの環境で製作していくうちに、だんだん中央でも認められ、また、アナの作品を使ったグッズやアナがデザインしたアクセサリーの人気が少しずつ出ています。

カソルラに残る伝説タラガンティアを題材にしたシリーズの中の1作。

フェリアのポスターの横にもあったのですが、「人魚?」かなと思える絵は「タラガンティア」を題材にしたものでヘビになった王女様です。

タラガンティアの伝説を紹介します。

カソルラにはお城があります。そのお城はもともと、イスラム系の国家のものでした。そのお城の王女様が、キリスト教の騎士と恋に落ちてしまったのです。もちろんレコンキスタの時代、イスラム教とキリスト教のグループは戦争の最中。国王は怒って王女をお城の塔に閉じ込めてしまいます。王女は怒り狂ってとうとうヘビに返信し、塔から逃げ出し、人々を襲い始めます。

というような伝説です。

アナのお母様の作品

スペインの家は壁がとても厚く作られています。60センチもの厚さを持っているところが多く、その厚みをくり抜いて棚を作っている家もたくさんあります。田舎では熱心なカトリック教徒が多く、そういう人たちの家は聖母を飾る棚をこのように壁をくり抜いて作ります。

アナが飾っているのは、お母様の陶芸の作品です。石とジェッソの白い壁に作られた壁に陶器の作品がとてもマッチしています。

右はご主人とのツーショットのデッサン

暖炉の上にもお母様の作品とアナ自身のデッサンが飾っています。

アナの活動は実は絵画だけにはとどまりません。実は歌も唄い、夫婦でコンサートをするほどのレベルです。多角的なアクティビティーができるのも、田舎生活の賜物でしょうか。

窓からはサンタ・マリア広場と遠くにカソルラのお城が見えます。

古い窓はとても雰囲気があります。こういう窓についた木の扉をコントラベンターナと言います。

オランダで妹さんが買って来たココアの缶などに道具が入っています。

絵画教室に来る生徒さんたちが自由に使える画材が置いています。1クラスに6人くらい。子供クラスと大人クラスがあります。

もっとアナの作品が見たい場合は下の公式サイトとFacebookをご覧ください。

Dibujo, pintura e ilustración - Ana Domínguez Navarro

http://www.anadomingueznavarro.es/

Obra gráfica, ilustraciones y dibujos de la artista Ana Domínguez Navarro, investigando los vínculos profundos entre arte, naturaleza y sostenibilidad.

Ana Domínguez

https://www.facebook.com/ana.dominguez.5811877

Ana Domínguez is on Facebook. Join Facebook to connect with Ana Domínguez and others you may know. Facebook gives people the power to share and makes the world more open and connected.

素敵なアーティストに出逢う旅をしませんか?

スペインはやっぱりアートな国。あらゆる場所にさりげなく素敵なアーティストがいます。ベラスケスからピカソまで、そしてタピエス、アントニオ・ロペス。そして…
素敵なあなたのアートを見つける旅をしませんか?素敵なアーティストがいる街に遊びに行きましょう。

アナ・ドミンゲスのいるカソルラへの行き方は下の記事を参照してください。

【スペインの城シリーズ】アンダルシア・カソルラの城に見つめられながら散歩する

http://travelclip.jp/articles/156

スペイン城シリーズ第一回目です。スペイン各地、特にアンダルシアにある城、カスティーリョを紹介します。スペインはヨーロッパの中でも特に中世の城が保存されています。映画の撮影にもよく使われているのです。第一回目は私が住んでいるカソルラから始めます。

この記事のライター

スペインに住んで18年になります。小さな素敵な町やお祭り、工芸品などスペインらしいスペインの旅を楽しむ情報をお届けします。

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