韓国の温泉とその特徴
火山が少ない韓国なので、「韓国で温泉?」と意外に思うかもしれません。
日本のように火山は多くない韓国ですが、実は有名な温泉地が全国各地にいくつかあるんですよ。
代表的な温泉地は、
・忠清南道 牙山(アサン)市 オニャン温泉(온양온천:温陽温泉)
・忠清北道 忠州市(チュンジュ)市 スアンボ温泉(수안보온천:水安堡温泉)
・釜山広域市 トンネ温泉(동래온천:東萊温泉)
・大田広域市 ユソン温泉(유성온천:儒城温泉)
などがあります。
韓国の温泉のほとんどは色は透明な単純泉です。釜山にあるトンネ温泉は珍しい炭酸泉なんですよ。
韓国の温泉は、日本の温泉のようにゆっくりとお湯に浸かって温泉を楽しむ……感じではありません。もちろん温泉旅館のようなものはなく、露天風呂も最近になって整備されているところが多くなってきていますが、まだまだメジャーではありません。日本の温泉を想像しているとびっくりすると思います。
韓国の温泉は大きく2つのタイプに分かれます。
・温泉スパリゾートタイプ:温水プールやエステ、ホテルやレジャー施設を完備。温泉は水着着用で入ります。
・一般的な銭湯・チムチルバンタイプ:銭湯のように大浴場がドーンとあるタイプ。場所によっては韓国アカスリ、チムチルバン(温かいオンドル部屋)が完備。
■温泉スパリゾートタイプ
カップルや家族連れに人気な温泉はこの「スパリゾートタイプ」。ここは水着着用が必須です。
温泉水の温水プールは、流れるプール、ウォータースライダー完備。施設によっては様々な効能の薬湯やサウナ、水着着用のままで入る露天風呂まで取り揃え、大人から子どもまで一日中楽しめる施設になっています。
有名なところでは、忠清南道牙山市のアニャン温泉のすぐ横、道高(トゴ:도고)温泉の「パラダイススパ道高」や牙山市のお隣、忠清南道禮山(イェサン)郡にある徳山(ドッサン:덕산)温泉「リソムスパキャッスル」などがあります。
■一般的な銭湯・チムチルバンタイプ
大浴場があってみんなで入浴するいわゆる銭湯タイプは、温泉ホテルの施設内にある大浴場などがメインです。実は、韓国の温泉ホテルに泊まっても、この大浴場だけは別料金というところが多いんです。
もちろん、温泉ホテルに宿泊していなくてもお風呂だけの利用ができます。
日本の銭湯や温泉とは違って備え付けのアメニティ類(シャンプー、石鹸など)はないところが多いですので、持参して方が無難ですよ。タオル類は貸出しているところ、持参しなければならないところ様々ですが、だいたいは揃っていると思います。
基本的に韓国の銭湯では「体を隠さない」が基本です!日本の温泉や銭湯のようにタオルでコソッと隠していると逆に目立ってしまいますので、ここはひとつ堂々と行きましょう!!
ユソン温泉のカジョクタン(가족탕:家族湯)に挑戦!
実は韓国の温泉にはもう一つの楽しみ方があるんです。
それは、「カジョクタン(家族湯:가족탕)」です。家族湯とはその名の通り家族貸し切りの温泉。
貸切風呂なので、誰の目も気にすることなく温泉に入りたい放題だというのですが……
しかも家族湯は、大型の温泉ホテルよりも、中小規模な温泉宿泊施設に多いのだとか!
そうと聞くと温泉好きの血が騒ぎます!
今回は忠清南道の大田広域市にあるユソン温泉の家族湯の貸し切りに行ってきました!
ユソン(유성:儒城)温泉とは?
ユソン温泉の伝承によると、始まりは百済時代の末期までさかのぼります。
ケガをした鶴が湯に身を浸して傷を治しているのを見たある母親が、新羅との戦で大怪我をした息子を連れてきて、怪我の治療のために湯に浸からせたのが発祥と言われています。(wikipediaより)
現在のユソン温泉の発祥は、1912年の日本統治下において公州(コンジュ)の実業家だった金甲淳が本格的に開発を開始し、1918年にユソン温泉ホテルが開業したことがきっかけです。
その後戦争など幾多の苦難がありましたが、1988年のソウルオリンピックの際に、大田のオリンピック選手村として再開発、2002年には日韓サッカーワールドカップ、大田スタジアムにも近かったことからメイン宿泊施設として利用されます。
現在では13箇所の観光ホテルと200を超える宿泊施設があり、年間2千万人を超える観光客を受け入れる温泉地となっています。
ユソン温泉の泉質は、逆アルカリ性の単純ラジウム泉。ナトリウムや炭酸ガスなど約60種類にも及ぶ様々な成分や、東洋最大のラジウム量を含有しながらも重金属は一切含まれていない良質な温泉として有名です。(参考:ユソン区文化観光ホームページより)
到着した温泉施設はモーテル!見た目からしてあやしい・・・
今回、ユソン温泉まで高速道路を使って行きました。ソウルからですと約2時間強もあれば到着する距離です。温泉に行こうと思い立ったのが午後だったので、到着したのは辺りがすでに真っ暗、すでに日が暮れていました。
高速の出口からユソン温泉までは車で5分ほど。あたりはどう見ても市街地で、とても温泉地があるようには見えないんですが……
あ、あった!
しかし、その見た目に度肝を抜かれます。
私たちが今回利用する家族風呂のあるホテルは、なんとモーテル!!見た目がいわゆる大人の宿泊施設(18禁)みたいなんですが大丈夫なんでしょうか……
恐る恐るチェックインしてみる
もうすでに電話予約していますので、とりあえず中にはいってみます。
今回は温泉に浸かりたいのが目的なので、3時間の休憩コースです。
3時間の休憩で3万ウォン(日本円で3,100円)ほど。
チェックインカウンター脇には「ご自由にお取り下さい」方式のスナックコーナー、カフェラテやエスプレッソまで入れられるコーヒーマシーンが完備です。宿泊の場合は無料で朝食まで提供されるんだとか!いたれりつくせりです。ここで好きなお菓子とコーヒーをゲットして、カウンターからアメニティグッズ(歯ブラシ、メイク落とし、ファイスパック等の入った袋)をもらっていざ部屋へ!
部屋のインテリアは、ちょっとだけそういうホテル的ではありますが、テレビ、PC2台完備、冷蔵庫にはミネラルウォーターと缶ジュース3本、インスタントコーヒーやお茶など完備。タオルもちゃんとバスタオルとフェイスタオルが一人1組ずつ準備されています。
ちょっとびっくりしたのがPC。起動が早く、ゲームとか出来るんじゃないでしょうか?退屈しのぎにはもってこいですね。ベッド2つともダブルサイズなので、お風呂に入ったあとは寝っ転がってゴロゴロと過ごせそうです。
お腹が空けば、この部屋から出前のピザやチキンまでも注文できる仕組みですし、ロビーに頼めばお酒とおつまみセットも頼めます。なかなか居心地よさそうに思えてきました!
お風呂は至って普通。浴槽は二人同時に入ってもゆったりとしている感じで、ジャグジー付き!それでも普通のホテルの設備と同じなので、温泉に来たという実感が全くありません。
シャンプー・リンス、ボディーソープは備え付けのものがありますが、歯磨き粉は共用(!)なので清潔面が気になる方は持参した方がいいですね。
とにかく、お風呂に入らなければ始まらない!
お湯をを入れてみることにしました。
お風呂のお湯は無色透明で匂いもなく、見た目ではただのお湯のよう……
入ってみないとわからないということで、入浴してみました。
入浴時は特に何も感じなかったのですが、入浴後の体がポカポカ具合がぜんぜん違います!多分、冷え性の方にはすごく効果があるんじゃないでしょうか?
入浴後の肌の具合ですが、私は少しつるつるになったかな?という程度だったのですが、アトピー持ちの夫に聞いたところ、アトピーの肌がしっとりして、かゆみがいくぶんかマシになったそうです。
温泉施設の見た目で判断しちゃいけないですね。ユソン温泉、なかなかやるな!と思いました。
韓国のモーテルは家族連れでも使える!その区別のコツを教えます
実は韓国の「モーテル」は一人旅行の際でも、家族連れでも使える施設が多いんです。一般的な観光ホテルよりは宿泊費は格安(1部屋6万ウォンから8万ウォン程度)ですし、スポーツの大会で学生の団体客がモーテルに宿泊するってことまであるんです!
ただし、いわゆる18禁の大人の宿泊施設の場合もあるので、ここで皆さんにその見極め方をこっそり教えちゃいますね。
■韓国モーテル、一般・家族連れでOK?そういったホテルかの見極め方!
・ムインテル(무인텔:無人モーテル)は大人の宿泊施設の可能性高し!ロビーに受付の人がいないムインテルはそういった意味合いの宿泊施設の場合があります。
・インターネットなどに宿泊情報を載せているモーテルは、一人や家族連れでの利用できる場合が多いです。その場合、ホテルのクチコミ情報をよく確認して、そういったホテルではないことをチェックしましょう。「ヤノルジャ:야놀자」などの韓国宿泊施設検索アプリや「エクスペディア」などのホテル宿泊情報サイト、韓国の情報検索サイトNAVERやDaumなどを活用して下さい。
どうしてもよくわからない場合、直接電話して聞いてみるという手もあります!韓国語でチャレンジしたい方はぜひやってみてください。
ユソン温泉には無料の足湯施設があります
ユソン温泉の外には無料の足湯施設があり、観光客で大賑わいでした。足湯施設がある辺りがちょうどユソン温泉の中心です。周りには食堂やカフェ、モーテルやビルが立ち並んでいて日本の温泉街にありそうなお土産屋さんや射的屋などの娯楽施設は全くありません。(カラオケはありました)
あまりにも普通の街過ぎて温泉街の情緒には欠けてしまうのがちょっと残念なんですが、温泉の効能はしっかりあるのでまずまず満足です!
ちなみに足湯施設の目の前の「オンチョン ソン カルグクス:온천 손 칼국수」という韓国式手打ち麺のお店は地元の人に愛される名店です。ときどきグルメ番組にも取り上げられるとのことなので、ユソン温泉にお立ち寄りの際はぜひどうぞ。
見た目はアレですが韓国の温泉は日本と違った魅力あり!
いかがでしたか?
韓国の温泉は「スパリゾートタイプ」や「銭湯・チムチルバンタイプ」が有名かつメインですが、ぜひ一度「家族風呂」も試してみて欲しいところです。
日本の情緒的な温泉もいいですが、町中に突然現れるネオンきらびやかな韓国の温泉は見た目がちょっとアレですが意外性があって面白いですよ。
一人でもグループでも、韓国旅行上級者にはぜひオススメです!あなたも韓国の温泉、「家族湯」でまったりしてみませんか?
日本→オーストラリアを放浪、今は韓国在住です。「近くて遠い国」と言われる韓国が「近い国」に感じられるような情報をお伝えします。