【スペインの城シリーズ】カラトラバが守ったアルカウデテの城は二重の城壁を持つ

【スペインの城シリーズ】カラトラバが守ったアルカウデテの城は二重の城壁を持つ

スペインの城シリーズ、第5回目はアンダルシア北部ハエン県のコルドバに近い、アルカウデテです。大体、「アル」がついた場所はアラブ語が語源になっていて、イスラムの国に関係あります。あまり知られていないアルカウデテですが、コルドバとグラナダの間にあり、防御のために作られた大きな城は保存状態も良い、見どころのある城です。


お城が見えてきた!

スペインで車を走らせているとあちらこちらで「城」らしきものに出くわします。遠くから見ても山のてっぺんや丘の上にあり、何やら突起状のものがあるとそれはまさしく「城」です。こちらから見えているということは、向こうからもしっかり見えているということ。

スペインの城は「戦(いくさ)」のために作られているのですから。なかには全く廃墟同然になっているものも多い一方、個人の所有物でリフォームされ住居として使われている城もあります。

ここはハエン県です。ラ・マンチャからアンダルシアに入ると、ハエンの風景はとにかく、オリーブ畑一色になります。オリーブ農業というのは、日本における米作のように、しっかりと政府の庇護があります。万が一、不作になってもちゃんと政府から援助金が入るので多くの農家はオリーブを作ります。(もちろん、気候がオリーブ作りに適した場所の場合ということになりますが。)

オリーブ農業はオリーブの木を植え付けてしまえば、毎年オリーブの実をつけてくれます。ですから、農業の種類の中では比較的楽で、自由時間がたっぷり持てるのではないでしょうか。以前はこの辺りもひまわりをたくさん植えていました。ひまわり油はオリーブオイルに比べると随分低価格でおまけに不作の場合でも政府から助成金が降りないのです。

そのようなオリーブ畑に囲まれたアルカウデテ(Alcaudete)のお城です。このように何もないところにいきなりお城があると奇異に感じる人もいるかもしれません。ここは、最後に載せている地図を見るとよくわかるのですが、コルドバとグラナダの中間地点にあります。つまり、アルカウデテはコルドバがイスラムの国の首都だった時代にコルドバとグラナダを守るために作られた城だったのです。

最初に見える大きな教会

教会

普通は教会は町の中心にありますが、この教会はもともとお城のための教会でした。そのため、城にくっついて建てられています。ただし、ある種の行事、例えば城の重要人物が亡くなったときや、カトリック教会の重要な人が来て特別なミサをするようなときに人々も参加できるように、城壁の外側に建てられています。そして、現在では町の大事な礼拝堂として使われています。

かなり大きな教会です。アルカウデテのような小さな村にある歴史のある立派な教会。

アルカウデテの城は、ローマ時代の要塞の上にイスラム系の国家によって築かれました。その後、11世紀にレオンのアルフォンソ6世(Alfonso VI de León)が一度城をキリスト教国のものにしました。まだまだ、イスラム教国の力が強かった時代です。アルフォンソ6世は勇者(el Bravo)というニックネームで呼ばれていた豪傑王でした。しかし、無理に征服したのでその後またイスラム教国城に戻りました。

完璧にキリスト教国の城になったのは、ハエン市にあるサンタ・カタリーナと同様、カスティーリョのフェルナンド3世の時代、1340年でした。ですから、この教会もその頃のものなのでしょう。

写真撮影用のパネル。

カラトラバの紋章です。カラトラバはカトリック教会の1グループです。つまり、アルカウデテの城はカラトラバの僧兵によってイスラム教国から奪い取ったものだったのです。

カラトラバといえば、スペインが大好きな人には聞き覚えのある名前かもしれません。

ひとつは建築家のカラトラバです。この場合はもちろん、ただの苗字ですね。バレンシアの科学博物館がカラトラバの作品として有名です。

もうひとつは、パン・デ・カラトラバというお菓子の名前です。マドレーヌなどが古くなって硬くなったものにたまご、牛乳、砂糖を加えて蒸し焼きにしたいわゆるパンプディングです。今では、ムルシア地方の典型的なお菓子と言われていますが、起源はこのカラトラバの僧兵のいるお城やアルカウデテから近いもうひとつの城、アルカラ・ラ・レアルだと言われています。どのように、ムルシアに伝えられたかは不明です。

しかし、僧兵たちがパンプディングを作っていたなんてちょっと想像ができませんね。
パン・デ・カラトラバのレシピのリンクを貼っておきますので、興味があったらぜひ作ってみてくださいね。

パン・デ・カラトラバ

https://andalucia-jaen.blogspot.com.es/2007/03/blog-post_27.html#links

カラトラバのパンって何? カラトラバといえば スペイン好きな人には こっちを思い浮かべる方が多いかもしれません。 スペイン人の建築家 サンチアゴ・カラトラバ ウィッキーペディアのページは こちら です。 でも ここで言う カラトラバのパンは 修道士のグループ(オルデン)の一つカラ...

パン・デ・カラトラバのレシピです。私が調理師学校で習ったレシピ。

岩の上に建造されているのがわかります。

岩の上に造られているのは、地面から湿気が入らないようにするためです。地下水がある場所というのも城や教会、修道院を建造する場所を選ぶときの条件です。しかし、地下水があるということは地下からの湿気もあるということです。今では、シリコンやプラスチックを使うのでしょうが、そういう建築資材がない時代は、このように岩の上に建造するという知恵があったのですね。

アルカウデテの城には二重の城壁があった

城壁の入り口

城が思った以上に大きかったので驚きました。教会の前を通って、しばらく坂道を歩くとやっと城の入り口にたどり着きました。

お城の説明図から

少し色が抜けて見えにくいのですが、もともとの城の構造はこの写真のように二重の城壁が造られていました。写真の入り口は、内側の城壁の入り口です。攻め込まれたときは、農民も羊や牛、豚、鶏などの家畜と一緒に外側の城壁の内部に入っていたのです。かなりぎゅうぎゅう詰めだったのでしょう。

全ての人が寝られるようにしてあったのでしょう。もちろん、ベッドなどはなく、干し草がたっぷり用意された厩舎のような建物に入っていたのです。

城から見た教会

さっき見た教会の塔が、城からよく見えます。大きな鐘がぶら下がった塔で、今でも時刻を告げています。15分ごとに鐘がなって、大体の時間を村人たちは把握していました。今では、どの家にも時計があるのですが、それでも町の鐘楼は時刻を刻んでいます。もちろん、今は全て機械に委ねられていますが。なくても不便ではないのですが、やはり15分ごとに聞こえる鐘の音は時間にメリハリをつけてくれます。

アルカウデテの町は二重の城壁の外側に広がっています。人口約1万人の町です。基本的には農業従事者の多い、穏やかな町です。でも、ちゃんと城の前にホテルもあり、城の訪問者も結構いるようでした。

アルカウデテの城にある休憩所、そしてサボテン

休憩所

アルカウデテの城、二重城壁の内側にある休憩所です。標高713メートルで風が強い日は寒くなります。そのため、周りに木造の柵が張り巡らされています。真ん中にあるのは水飲み場です。地下水の冷たい水が出て来ます。

ウチワサボテン

ウチワサボテンは化粧水などに利用されるサボテンです。スペインの南部で作られていますが、ハエンでは冬に寒くなるので、あまりサボテンはありませんが、アルカウデテはコルドバに近く、コルドバの気候に近いようです。

城にはレストランもあるのですが、時間外で閉まっていました。ゆっくり見ていたので4時になっていたのです。

アルカウデテの町の中へ

外側の城壁の入り口

城を囲む二重の城壁のうち、外側は入口部分が2カ所残っているだけです。これがそのうちのひとつで現在の街の中心部に当たる広場に通じます。突き当りが市役所になっていて、レストラン、バルがあります。

入口(出口)を出てすぐのラ・アウローラというバルに入りました。アウローラというのは、アルカウデテの守護聖女です。カトリックの世界では守護聖人がとても大事な存在です。守護聖人の日にそれぞれのお祭りが開催されます。ある意味多神教に通じるものを感じます。

レトロな店内

スペインはお昼ご飯の時間が午後2時、おやつ(メリエンダ)が6時、そして晩御飯が9時から11時です。たいていの場合、それ以外の時間は食事ができません。せいぜい、火を使わなくても作れるボカディージョ(バゲットのサンドイッチ)くらいです。

天井もクール

私たちはロモのボカディージョを頼みました。ロモにたっぷりアルカウデテのエクストラバージンオリーブオイルをかけて食べました。ロモというのは、ロース肉のことで、ここではロース肉を使った加工肉です。脂身が少なく、ハモンよりしっかりした味です。

アルカウデテへのアクセス

アルカウデテへはグラナダから直通のバスが出ています。アルサ(ALSA)社のバスで、約2時間です。途中、アルカラ・ラ・レアルも通ります。そこにも素敵なお城があるので、途中下車も素敵です。アルカウデテからコルドバ行きの直通バスが出ていますから、グラナダ、コルドバ観光の途中に城を見る計画を立ててはいかがですか?

次回はマルト? 城だらけのスペイン

車でスペインを走っていると、あちらこちらに城があります。あ、こんなところに! と思うような場所にあって驚かされます。場合によってはかなり痛んで一部だけが残っているような場合もありますが、それでも遠くから城があるのがよくわかります。

この写真はマルトという町です。次回はここ?

この記事のライター

スペインに住んで18年になります。小さな素敵な町やお祭り、工芸品などスペインらしいスペインの旅を楽しむ情報をお届けします。

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