【ブルーマウンテンズ・ファームステイ】子ども受け抜群!アルパカと戯れ、電車型キャビンに泊まる週末家族旅行

【ブルーマウンテンズ・ファームステイ】子ども受け抜群!アルパカと戯れ、電車型キャビンに泊まる週末家族旅行

シドニーの田舎には数多くのファームステイが点在しています。その中でも筆者一押し、ブルーマウンテンズの外れに佇むアルパカ牧場を詳しくご紹介します。都会の喧騒から離れて広大な自然の中で様々な動物に触れ合い、牧場内に寝泊まりしてみませんか?素朴な田舎暮らしの醍醐味を存分に味わえ、子どもたちが大喜びすること間違いなし!


マディソンズ・マウンテン・リトリートの紹介/ファームステイの心得

シドニーから西に約80キロ、車を一時間半ほど走らせたところにある、クラジョン・ハイツ。ブルーマウンテンズレンジの東端に位置する、人口1000人にも満たない小さな町です。今回ご紹介するファームステイ、マディソンズ・マウンテン・リトリート(Madison's Mountain Retreat、以下マディソンズ)はこの小さな田舎町に佇んでいます。

敷地内には8つの宿泊用ログキャビンがあり、全て暖炉付き。冬場でもしっかり温まれます。そのうち3つのキャビンにはプライベートジャクジーあり。共同エリアには室内温水プールと、テニスコートやBBQコンロもあります。牧場周辺には軽いブッシュウォークのできるトラックもあり。と、ここまで聞こえはいいのですが、オーストラリアのファームステイ(マディソンズに限らず)の心得も同様に紹介します。

まず、施設の半分くらいは冬場は閉鎖もしくは故障しているパターンがお決まりです。そこはオージーあるあるで多めにみましょう。リラックスしたくてジャクジー付きのキャビンを予約したのに、チェックインしたら故障していて使い物にならなかった!なんてことがないように、予約時にはウェブサイト掲載情報のどこまでが真実なのか、気になることはとことん確認することをおすすめします。

また、宿泊するお部屋も施設も全体的にかなり年季が入っていることろがほとんどです。天井の隅に小さな蜘蛛の巣があったり、壁にヒビが入っていたり、ところどころ錆びていたりするのはご愛嬌。ピカピカのホテルならシティにたくさんありますから、田舎にきたからには田舎の素朴な暮らしぶりを受け入れて楽しみましょう。

絵に描いたような毒キノコも生えています。ヒー!

ブルーマウンテンズでも紅葉を楽しめます。奥に見える緑の建物が鶏小屋です。

動物たちと触れ合おう

牧場内でお目にかかれる動物たちは、アルパカを筆頭に、ヤギ、アヒル、鶏、そして孔雀!アルパカの餌やりは朝9時と午後2時に二回行っています。餌やりの際、アルパカの隣にいるヤギを抱っこすることもできます。飼育しているアルパカはおよそ70頭。一番の古株は1999年生まれの御歳18歳。毛刈りは毎年11月下旬〜12月上旬に行っているそうです。

運が良ければ鶏が産みたてほやほやの卵を朝食用にいただけることもあるとか。経営者のスティーブさん曰く、「産みたての新鮮な卵を味わってしまったら、スーパーの卵には手が伸びない」そうです。

訪れるファームステイによっては、1日のスケジュールが緻密に組まれていて、朝の餌やり、体験乗馬、午後の餌やり、室内アクティビティー、キャンプファイアーなど休む暇なく牧場中を歩き回らなければいけない「ザ!観光牧場」なところもありますが、マディソンズは餌やり時間以外は特に何もなし。

ゆっくり牧場内を散歩するもよし、キャビンでゴロゴロするもよし、思い思いの方法でリラックスすることができますし、スティーブさん&エミリーさん夫妻と飼育されている動物たちの日々の暮らしぶりを垣間見ることができます。

施設内を優雅にお散歩中の、孔雀のアンドリュー。オージーが動物たちにこういう貴族感満々の真面目な名前をつけるところ、筆者は大好きです。

餌は手からも食べてくれますが、待ちきれずにガツガツ食べます。後ろからは無言のプレッシャーが。。。

ファームステイの宿泊スタイル「Self-Contained」って何のこと?

宿泊先に「Self-contained」という言葉を見つけたら、それは「自炊型」という意味です。B&B(Bed & Breakfast)が一泊朝食付きであるのに対して、こちらは三食全てゲストが自ら調達するスタイル。ゲストハウスの多くや、ホリデーレンタルはほとんどがSelf-Containedの類です。サービスアパートメントと似たコンセプトと思えばわかりやすいかもねしれませんね。

このSelf-Contained型の滞在、旅行中くらい何もしなくてもご飯が出てくる所じゃなきゃ嫌!という方にはお薦めできませんが、何せDYI(Do It Yourself)大国のオーストラリア。こちらのライフスタイルに合った、一番メジャーな宿泊方法がSelf-Containedといっても過言ではありません。

自分の家の様に自由にキッチンを使ってよし、その代わり食器洗いや片付けも自分達でします。海外旅行者が多く利用するところは「お帰りの際はキッチン用品を元の場所へ戻し、おいでになった時と同じ状態にしておいて下さい」とちょっとしたメモの置かれたところなんかもあります。食器用洗剤やスポンジなども備品に含まれていますので、家から持って行く必要はありません。

オージーはこの手の滞在に慣れていますし、常識のある旅行者がほとんどですので、皆さん次の人が気持ち良く使えるようにきちんとルールを守っています。チェックアウト後にはオーナーが点検にあたり、清掃業者が入ってお掃除もしてくれます。

チェックイン時には、冷蔵庫に飲み切りサイズの牛乳パック、キッチンにインスタントコーヒーとティーパックのセット、またビスケットが数枚あるのがお決まりです。BBQ用にスプレータイプのクッキングオイルが置いてあるところもあります。

オーストラリアの田舎で覚悟すべきとこは、外食の選択肢がそれはもう限られてくるということです。町角で見つける店のメニューの王道はパイやソーセージロール。あとはサンドイッチやラップなど、シンプルなカフェメニューがほとんどです。

夕食もステーキ、ハンバーガー、チップスなど、どこに行ってもいわゆるパブ系のメニューがメイン。日本のように、この地方に来たからにはこれを食さなければ!という概念はこちらにはほとんどありません。ですから、旅行の楽しみから食事を外しておいた方が賢明かもしれませんね。

説明が長くなりましたが、筆者家族も自炊する気満々で、翌日の朝食用の食料なども持参してきたのですが、チェックインからほどなくしてキャビンをノックする音が。開けてみると、スティーブさんが立っていました。「これ、明日の分ね!」と差し出してくれたのはこちら。

朝食セットが入ったバスケット。ベーコン、ソーセージ、トマト、卵、マッシュルーム、食パン、食べ切りサイズのシリアル数種類。これは嬉しいサプライズ!

これは今まで見た中で一番、見た目と気前の良い朝食セットでした。マディソンズのレビューを後日見てみると、確かに「あの朝食バスケットは最高だった!」と歓喜のコメントが多く見られました。Self-Containedじゃなかったの?という疑問は置いておいて、こういう予期せぬ出来事もファームステイならではです。

さて、マディソンズの敷地内には、子供たちが大喜びするお楽しみキャビンがあります。今回筆者一家と義家族が宿泊したのはこちら。アルパカと同じくらいお目当てにしていたのは。。。

電車キャビン

ドーン!電車を改装したキャビン!味のあるワインレッド色が素敵です。

なんともレトロな外見の電車ですが、現役で走っていたのは今からおよそ100年前、1920年頃のこと。残念ながらクラジョン・ハイツ〜リッチモンド間を結ぶ路線は1952年に廃止となりました。役目を終えた電車は、現在ではアルパカ牧場に訪れる旅行者の粋な宿泊先として活躍しています。

マディソンズには、この電車キャビンが2台鎮座しています。筆者が宿泊したキャビンには、メインベッドルーム内にキングサイズベッド、リビングエリアにソファーベッド。さらに子供たちにはロンドンバスの二段ベッド!電車の中にさらにバスとは、なんとも贅沢!また機関車トーマスのおもちゃや、実際に使用されていた運転席もそのまま保存されており、家族連れにはこれ以上ないほど素晴らしい作りになっています。

メインベッドルーム。キャビン内唯一のベッドルームでもあります。奥のドアを開けて。。。

外から見るとこんな感じです。このアングルから見ると、顔のように見えて可愛い。

電車キャビンには暖炉はありませんが、暖房がついていますので冬でも寒さをしのぐことができます。ブルーマウンテンズはシドニー中心部よりに比べて平均気温がかなり低いので、朝方には芝生に霜が降りるほど冷え込みます。真冬は雪も降りますので、冬の間(6〜8月)に訪れる際には、防寒対策をお忘れなく。

キャビン内のドアというドアが、ずっしりしていてかなり重いです。体重をかけて「うーん」と開け閉めします。

子供たちが一番盛り上がるのがこのロンドンバス型二段ベッド。ちゃんと「ナイトバス」と書いてある芸の細かさ!この奥にトイレ&シャワー、キッチン、運転席と続きます。

周辺のおすすめスポット

隣町のビルピン(Bilpin)は日本でいう青森のような位置づけで、りんごの産地として全国的に知られています。1〜6月のりんご狩りシーズン中の週末にはシドニーからの日帰り旅行者で賑わいます。名産品はアップル・サイダー、そして道路沿いや町のカフェには手作りアップルパイが並びます。

筆者も一度りんご狩りに訪れましたが、農園主はとても気さくな人で、「美味しそうなのが生ってる木があったら、一つ摘んで味見していいからね〜」と快く言ってくれました。

綺麗に生っている食べ頃のりんごを吟味して摘み取る。。。と描いていたイメージよりは、農園主が捌ききれないりんごを一般の人が摘み取ってあげている、と表現した方がしっくりくるように思います。食べ頃を過ぎたりんごがそこら中の地面に落ちています。

りんごの木は絵や写真でしか見たことのなかった子供たちにとっては本当に良い経験でした。農園内には羊も飼われていて、店内で売っている餌を購入して羊の餌やりもできます。

シーズン中に食べ頃をむかえるりんごの品種もいろいろ。筆者が訪れた時にはピンクレディーのエリアが開いていました。

また、マディソンズから車で20分ほど走ったところにあるのが、ブルーマウンテンズ植物園。小高い丘の上にブルーマウンテンズと植物園を一望できるカフェがあり、絶景を楽しみながらのお食事やお茶が可能です(お値段はかなり張りますのでご飯の方は要注意)。ちょっとしたディスプレイやキッズエリアも併設されています。筆者一家は短時間の滞在で全ては回れませんでしたが、スケジュールに余裕があればぜひ足を伸ばして損はないスポットです。

ブルーマウンテンズというとカトゥーンバの方ばかりが注目されがちですが、ここには観光バスが何台も押し寄せることもなく、そこまで混み合いません。落ち着いた雰囲気でブルーマウンテンズの美しさ十分に堪能することができます。

車を出さなくても行ける唯一の場所がここです。マディソンズの入り口から徒歩5分の場所にあるパイ屋さん、「Pie in the Sky」。

経営者スティーブさんの華麗な転身

餌やりの合間に聞いた話では、スティーブさんの前職はなんと弁護士なんだとか。メルボルン出身で、シドニーに引っ越して来てからもしばらく弁護士の仕事を続けていたけれども、3人の子どもたちのことを考えた時に田舎暮らしを決意したそう。高給取りの仕事を手放して牧場経営者へ転身は、決して平坦な道のりではなかったことは容易に想像できます。

当時を振り返って、「メルボルンの弁護士は法廷で争いながらも互いの仕事をきちんと尊敬し合うし、公平感も決して失わない。でもシドニーの弁護士はみんな敵対心むき出しだよね。僕何か悪いことした?って思うくらい攻撃的なんだ。」とぼやいておられました。

このコメントには筆者も納得。残念ながらシドニーは理由もなくギスギスした人が多いのが事実。シドニー同様に大都市に成長したメルボルンですが、昔ながらのオージーらしさはメルボルン出身の人の方が持ち合わせていると思います。

同じ様に見えて、よく観察すると一頭一頭かなり個性的な顔ぶれであることに気づきます。

以前別のファームステイを訪れた際に、羊の毛刈りを見学する機会がありました。その時初老の牧場主の方が話していたのが、羊の毛刈りのプロになるには10年ほどかかること、また後継者が極端に少ないこと。

「若者はITや金融関係の仕事の方がかっこいいしお金になると思っている(説明にあった羊毛刈りの単価は忘れてしまいましたが、熟練したスキルがあればシティで働くビジネスマンと同じくらいの収入が見込めるそうです)。私は酪農業界の将来を憂うのです。」と、その方が真剣な表情で語っていたのを覚えています。

オーストラリアも過疎化に喘いでいるのがよく分かる話ですね。マディソンズにはこれから何世代にも渡って続いてほしいと願わずにはいられません。

こちらは雄のアルパカ。「すっごく遠くまでつばを飛ばしてくるし、つばはめちゃめちゃ臭いから、あまり近寄らないで!」とモリーちゃん。アルパカは最高で5メートルほど先までつばを飛ばすことができるそうです。

筆者は滞在中に、スティーブさんの末っ子のモリーちゃん(8歳)と話す機会がありましたが、とにかく人懐っこくて、餌やりの間もその後も長女と従姉妹のお姉さんの遊び相手になってくれました。さすが牧場主の娘だけあって知識豊富です。

アルパカは雌と子ども、雄親、去勢された雄に分けられていること、餌やりは雌と子どもたちのみ1日2回、雄たちは1日1回であること、アルパカは一頭1500ドルくらいで売れること、名付けはアルパカを購入したオーナーがすることなど、淀みなく色々教えてくれました。

最後は筆者一家が泊まるキャビンまで一緒についてきて、子どもたちと一緒にジュースを飲みながらテレビ鑑賞までする寛ぎよう。スティーブさん達も仕事で忙しいのか、モリーちゃんがゲストと遊ぶことに慣れているのか、わざわざ探しにきたりはしません。オージーの田舎は、これくらいの適当さが丁度いいんです。

終わりに

ファームステイの魅力は、訪れる誰もがそれぞれの思い出を作れること。子どもたちは大自然の中で泥や草、動物たちの匂いを覚え、夜は満点の夜空を眺め、五感全てを使って遊ぶことができます。大人たちにとってもまた、忙しい日常から離れて身体と心をリセットしたり、他人のライフストーリーに触れられる貴重な機会でもあります。

週末家族旅行のリストに、ぜひ入れてみてくださいね。

Madisons Mountain Retreat

http://www.madisonsretreat.com.au

Madison's Mountain Retreat is a peaceful farmstay in Kurrajong Heights, on acres bordering the Wollemi and Blue Mountains National Parks. 8 self-contained one-bedroom cedar cottages (3 with private spas). 2 refurbished train carriages with air-conditioning. Each accommodates up to 5 people (total of 50 people).

この記事のライター

ニュージーランドとシンガポールでの生活を経て2009年よりシドニーに居住しています。6・3・1歳の子育て中です。

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