【スペインの城シリーズ】映画の舞台にもなったバニョス・デ・ラ・エンシーナ

【スペインの城シリーズ】映画の舞台にもなったバニョス・デ・ラ・エンシーナ

スペインの城シリーズ第3回目です。今回はアンダルシアの北部、コルドバの東にあるハエン県、バニョス・デ・ラ・エンシナにある、10世紀に建てられたヨーロッパで2番目に古い城です。小さな町で、住んでいる人が皆幸せに暮らしているような、素敵なところにある城です。


ヨーロッパで2番目に古い城のある町バニョス・デ・ラ・エンシーナ

バニョス・デ・ラ・エンシナ(Baños de la Encina)はコルドバの西、ハエン県にある人口2000人の小さな町です。独特の陶器も作っていて、じっくり歩いていると素敵なものに出会える町です。スペインの村は、人口が2000人くらいでも、寂れた村という雰囲気になることは少ないようです。都会に行くことが好きな場合以外は、一通りなんでも揃うので(もちろん、ピカピカのブランド物は買えませんが)、むしろ住みやすいくらいです。そして、ここにはヨーロッパで2番目に古い城があり、毎日その風景を楽しめます。素敵だとおもいませんか?

バニョス・デ・ラ・エンシナの周りにはエンシナ、つまり、シイの木がたくさん生えています。シイの木の生えている風景が、本来のスペインの風景だと、スペイン人たちは言います。もともと、どこに行ってもシイの木が多かったのですが、最近は松の木が増えてきて少しバランスが崩れているようです。シイの木にはどんぐりができます。そのどんぐりを食べるのが、ハモン・セラーノ(スペインの生ハム)の原料になるブタなのです。ブタは、このようにシイの木のある原っぱに放し飼いにされて、たっぷりどんぐり(ベジョタ)を食べます。

バニョス・デ・ラ・エンシナへのアクセス

コルドバ(Cordoba)からバイレン(Bailen)にアルサ社(Alsa)のバスで行き、バイレンからサマール社(Samar)のバスでバニョス・デ・ラ・エンシナに行きます。バイレンまで8〜9ユーロ、バイレンからバニョス・デ・ラ・エンシナまで約1ユーロです。

または、ハエンからサマール社のバスでバニョス・デ・ラ・エンシナに直接行けます。約1ユーロ。

城壁に囲まれているからできる連帯感

城壁に囲まれたスペインの古い町のお約束の入り口をくぐり抜けて町の中に入っていきます。入り口があって、町が独立しているというのがいいですよね。スペイン語では、どこ出身という地名、町名の形容詞形が豊富です。例えば、「私はマドリード出身です。」と言う代わりに「私はマドリレーニョ(マドリッド子です。」と言うことの方が多いです。「江戸っ子」「浪速っ子」のような言葉が、どのように小さな町にもあります。この形容詞が外国人には結構難しいのです。マドリードがマドリレーニョなら語尾にエーニョをつければいいのかなと思うとそんなにシンプルではないでのす。アルカラ・デ・エナレスで生まれたら、アルカライーノ。バルセロナの場合はさらに複雑で、カステジャーノ(いわゆるスペイン語)でバルセロネス、カタルーニャ語でバルセロニ。では、外国の場合は自分で勝手に作れるのでしょうか?例えば東京だったらトーキョーイーノとか?ところが答えはノーだと言われました。「東京はトーキョータ。」だそうです。なぜ?
スペイン語の深いところですね。

バニョス・デ・ラ・エンシナになぜアラブ人は城を建てたのでしょう

スペインの古くからある町は、起伏があり、小高い丘になっているようなところが多いです。古い街トレドがそうですね。遠くから近づいていくとこんもりと家を盛りつけたような街が見えてきます。

バニョス・デ・ラ・エンシナも、やはり丘のようなところに城ができ、その周りに城下町が広がります。そのため、写真のような階段や坂があちらこちらにあります。スペインのおばあさんが足腰が強いのもこう行った地形のおかげでしょう。

城のある高台から貯水池が見えます。夏の撮影なので、草が黄色くなっていますが、秋から春には全体が緑でもっと綺麗な風景です。また、夏は雨が少ないのですが、秋に雨が降ると水量も増えてきます。

この貯水池は、バニョス・デ・ラ・エンシナのそばを流れるルムブラール川(Rio Rumblar)の水を引いて作られたルムブラール貯水池(Embalse del Rumblar)です。農業用水のほか、舟遊び、水泳、電力発電などに使われています。そして、水回りにはたくさん自然が残っています。皇帝ワシ(Águila imperial )とスペインでは呼ばれているイベリアカタシロワシ、 王室わし(águila real)と呼ばれている,イヌワシ、黒いハゲタカ、黒いコウノトリなどここでしか見られない鳥類を観察できます。

バニョス・デ・ラ・エンシナの城、ブルガリマル城

これがブルガリマル城(カスティーリョ・デ・ブルガリマル、Castillo de Burgalimar)です。イスラムの王様ハカム2世によって968年に建設が開始されました。なぜ、ここに?

当時、コルドバを首都として、イスラム国家ある後後ウマイヤ朝が栄えていました。後ウマイヤ朝の第2代カリフであるハカム2世はかなり知性派だったそうです。図書館を作り、蔵書も40万冊を超えていたそうです。女性たちを雇って本をコピーさせ、多くの人が読めるように、また、読むように推奨していました。そして、天文学などの科学や技術の知識だけではなく、多くの文学、特に詩など幅広い分野の本を集めていました。

そのような知性のあるハカム2世が、ブルガリマル城をバニョス・デ・ラ・エンシナに建造することを決意したのです。バニョス・デ・ラ・エンシナはグアルダキビル川の流れる場所、そしてマドリードの南部、つまりカスティーリョ地方との境です。キリスト教軍がアンダルシアに攻め込んできたら、このバニョス・デ・ラ・エンシナで有利な戦争をするために建造した城だったのです。

全体像をカメラに収めるのはなかなか難しかったのでウィキペディアの写真でご紹介します。このように完璧な形で残っている城は少ないのです。

そして、もっと城の様子がわかるようにビデオを紹介します。これはスペインのかなり古い人気漫画、El Capitán Trueno(雷隊長)の実写映画を撮影している時の様子です。そして、その下にブルガリマル城の大きさがわかるように40秒間のビデオも付け加えました。

バニョス・デ・エンシナの町の散歩

アンダルシアの町はこのように細い道で、家と家の間が狭いです。それはお互いに影を作り合うことで、暑い夏も涼しく過ごせるための知恵です。壁が白いので、光が反射し、家と家がくっついていても暗くならないようになっています。新しい住宅地は、近代的に道を広くしているので、夏にはクーラーが必要になってきました。近代化というのは時としてアンチ・エコロジーですね。

そして、城下町のもう一つの特徴おは、道が曲がっていることです。道にカーブが多いのは、城に攻め込む時にまっすぐに勢いをつけてパワーアップしないためです。

サン・マテオ教会(la Iglesia de San Mateo)が町の中心、コンスティトゥシオン広場にあります。内部にはスペインの宗教画家で、空の色が美しい絵を描き、日本でも人気のあるムリーリョ(Murillo)の作品が見られます。

町を歩いていて見つけた郵便受け、というより郵便物穴?correoというのは郵便のことです。石造りの家の壁は穴を開けるのも大変だと思います。ですから、一部取り壊して、プレートを貼り付けているんですね。スペインの門のない家に住むと、家にあう郵便受けをつけるのが結構大変なのです。これはとても素敵なアイデア。

風見鶏です。風見鶏を設置していうr家が結構あります。この風見鶏、典型的なスタンダードな風見鶏だと最初は思ったのですが、足元にあるのは魚、ですよね。おまけに煙突が白ではなく、風見鶏と同じ黒の鉄で、その上に風見鶏を設置しています。かなり凝ったデザインです。

スペインの城を巡る冒険にようこそ!

ヨーロッパで2番目に古い城を紹介しました。バニョス・デ・ラ・エンシナはちょっと行きにくい場所にありますが、こういう場所だからこそ、スペインの本当の良さが感じられますよ。次回のスペインの城をお楽しみに!

この記事のライター

スペインに住んで17年になります。小さな素敵な町やお祭り、工芸品などスペインらしいスペインの旅を楽しむ情報をお届けします。

関連するキーワード


スペイン アンダルシア

関連する投稿


【スペインの音楽】vsメキシコの音楽! 愛を語るセレナーデはどちらがアモロッソ?

【スペインの音楽】vsメキシコの音楽! 愛を語るセレナーデはどちらがアモロッソ?

スペインのポピュラーミュージックの元祖ツナの音楽。スペイン国内だけではなく、ヨーロッパ各地で意外と人気のある伝統的な音楽です。スペイン旅行の際、もしかしたら偶然聞く機会に巡り会えるかもしれません。秋から春にかけて、あちらこちらで無料コンサートをしている、スペインの心の源のような音楽です。マリアッチの元祖でもあります。


スペイン観光の穴場!ムルシア、カルブランケの海で自然と最高のスペイン料理を味わおう!

スペイン観光の穴場!ムルシア、カルブランケの海で自然と最高のスペイン料理を味わおう!

ムルシアってどこ?と思う人も多い、あまり知られていないスペインの穴場観光スポット。美しい海とおいしいものがいっぱいのムルシア、カルブランケを紹介します。 地中海最後のバージンスポットとも言われるムルシアのカルブランケで、大自然を体験する旅をしませんか?


フランス人に愛されるアルメリアの小さな街ロダルキラル! 大人気の街になる予感

フランス人に愛されるアルメリアの小さな街ロダルキラル! 大人気の街になる予感

アルメリアのロダキラルは特別に何かがあるというところではありませんが、アーティストもたくさん集まる生き生きした街です。かつてモハカがただの綺麗な街だったとき、ヒッピーたちに愛されて、今では大観光地になっています。次は多分ここ! 大観光地になる前に訪れてみませんか?


【スペイン】幸せ気分にひたりたかったらサン・セバスティアンにいらっしゃい!

【スペイン】幸せ気分にひたりたかったらサン・セバスティアンにいらっしゃい!

サン・セバスティアンはビスケー湾に面した街で、「ビスケー湾の真珠」と呼ばれる美しい街です。サン・セバスティアンは、観光地を巡る観光客ではなく、滞在型の人が多いので、町全体の空気がリラックスして、幸せな気持ちになります。サン・セバスティアンのミラマール宮廷など穴場観光スポットを紹介します。


【マドリード観光】アトーチャ駅の周りで穴場スポット! 空いた時間でスペインの思い出づくり

【マドリード観光】アトーチャ駅の周りで穴場スポット! 空いた時間でスペインの思い出づくり

列車を利用して旅行する場合、バラハス空港で降りたら、チャマルティン駅かアトーチャ駅を利用することになりますね。アトーチャ駅の周りで列車を待つ間に行ける、お金をかけずに楽しめる方法を紹介します。穴場スポットもありますから参考にしてください。


最新の投稿


中世ヨーロッパへタイムスリップ!百塔の町、プラハの紡がれた歴史を歩いて旅しよう

中世ヨーロッパへタイムスリップ!百塔の町、プラハの紡がれた歴史を歩いて旅しよう

赤い屋根で覆われたおしゃれな街並み。中世の空気を現在でも残す歴史を深く感じることのできる町。そして、尖塔の多さから百塔の町とも形容される、世界遺産にも認定された町プラハ。何度訪れても飽きることのない美しい町の景色がここにはあります。1000以上の歴史を紡ぎ、現代の私たちに見せてくれるその町の景色を歩いて旅しましょう。


スイスの美しい湖畔の小都市ルガーノでゆったり癒し系のバカンスを満喫しよう!

スイスの美しい湖畔の小都市ルガーノでゆったり癒し系のバカンスを満喫しよう!

イタリアとの国境からほど近くに位置するスイスの美しい都市ルガーノ。ゆっくりとした時間の流れる洗練されたスイス文化と、活気あるイタリア文化の良いところを混ぜ合わせたような、魅力あふれる町です。この記事では2年の滞在歴を活かして、ルガーノ周辺で楽しめるアクティビティから絶景スポットまで、私のおすすめ観光情報をご紹介します!


【ブルーマウンテンズ・ファームステイ】子ども受け抜群!アルパカと戯れ、電車型キャビンに泊まる週末家族旅行

【ブルーマウンテンズ・ファームステイ】子ども受け抜群!アルパカと戯れ、電車型キャビンに泊まる週末家族旅行

シドニーの田舎には数多くのファームステイが点在しています。その中でも筆者一押し、ブルーマウンテンズの外れに佇むアルパカ牧場を詳しくご紹介します。都会の喧騒から離れて広大な自然の中で様々な動物に触れ合い、牧場内に寝泊まりしてみませんか?素朴な田舎暮らしの醍醐味を存分に味わえ、子どもたちが大喜びすること間違いなし!


【スペインの音楽】vsメキシコの音楽! 愛を語るセレナーデはどちらがアモロッソ?

【スペインの音楽】vsメキシコの音楽! 愛を語るセレナーデはどちらがアモロッソ?

スペインのポピュラーミュージックの元祖ツナの音楽。スペイン国内だけではなく、ヨーロッパ各地で意外と人気のある伝統的な音楽です。スペイン旅行の際、もしかしたら偶然聞く機会に巡り会えるかもしれません。秋から春にかけて、あちらこちらで無料コンサートをしている、スペインの心の源のような音楽です。マリアッチの元祖でもあります。


サクッと立ち寄れるロサンゼルスのリトル・トーキョーにあるドーナッツがおいしすぎるお店・カフェ・ドルチェ

サクッと立ち寄れるロサンゼルスのリトル・トーキョーにあるドーナッツがおいしすぎるお店・カフェ・ドルチェ

ロサンゼルスのダウンタウンにはリトル・トーキョーという日本人街があります。とはいっても日本人がこのエリアに多く住んでいるわけではなく、日本に関するお店が集中しているエリアです。ここにあるカフェ・ドルチェはドーナッツがとってもおいしいんですよ!イェルプでも4〜5つ星でロサンゼルスローカルが認める人気カフェです。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング